冬を温かく過ごせるインナーとして、ヒートテックが人気です。しかしアトピーの方からは、ヒートテックを着ると肌が乾燥したり、かゆくなったりしてしまうという声も聞かれます。
そこで今回は、ヒートテックがなぜアトピーのかゆみを引き起こすのかと、静電気と肌荒れとの関係についてもご紹介します。
ヒートテックが暖かい理由
ヒートテックの暖かさの秘密は、素材として使われている「吸湿発熱繊維」にあります。しかし、この吸湿発熱繊維の性質が肌荒れや乾燥の原因となり、アトピーのかゆみを強くしているのです。
ヒートテックは肌の水分を取り込んで熱を発生
「吸湿発熱繊維」は、気体が液体になるときに発生する凝縮熱によって発熱する繊維です。つまり、
- 肌から蒸発する湿気を吸湿発熱繊維が吸収
- 水蒸気が冷えて水に変わる
- 凝縮熱が発生する
という仕組みが、ヒートテックの暖かさの秘密といえます。加えてヒートテックは効率的に水分を衣類の外に逃がす機能も備えているため、この仕組みを回し続けて暖かさを持続させることができるのです。
ヒートテックの吸湿発熱サイクルは1日中回り続ける
ヒートテックが取り込む水分は、汗ではなく水蒸気です。人体から水分が失われるのは発汗以外に、呼吸によるものや皮膚からの蒸発によるものもあります。
このように日常生活で自然に水分が失われることを、「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」と呼んでいます。
ちなみに、1日に皮膚から放出される水分量は500~700mlもあるのです。この水分がヒートテックに取り込まれ続けるので、一日中暖かく過ごすことができるわけです。
ヒートテックでアトピーのかゆみが悪化する理由とは?
ヒートテックのインナーは大変よく売れている商品で、多くの方が利用しているものです。しかし、素材の性質上、アトピーの方や肌が乾燥しやすい方は、肌荒れやかゆみを感じるケースもあります。
ヒートテックで肌の水分を奪われるから
皮膚には、外界の湿度や温度の変化から身体を守り、一定の状態に保つ働きがあります。吸湿発熱素材が直接肌にふれても、皮膚の状態が良ければ特に変化は現れません。
しかし、アトピー性皮膚炎の方のように、もともと皮膚の水分量や皮脂量が少ないタイプだったり、炎症をおこしやすかったりする場合は要注意です。
吸湿発熱素材によって皮膚の水分が過剰に奪われてしまい、かゆみや炎症を起こすことになってしまうことがあるのです。
ヒートテックで静電気が起きるから
ヒートテックの素材は化学繊維が含まれているため、衣類の摩擦から静電気が発生しやすくなります。
静電気は電気刺激そのものが肌に良くありません。静電気により肌の表面が刺激され、かゆみや炎症が引き起こされる可能性があります。静電気は肌の水分も奪うため肌の乾燥や肌荒れを悪化させることが考えられます。また静電気は肌ダメージを起こしやすい空気中の雑菌やハウスダストを引き寄せます。
最後に「ヒートテックコットン」という製品もありますが、コットン100%ではないようです。肌荒れが気になる方は、素材を確認してから選ぶことをお勧めします。
アトピーの肌に優しい素材とは?
肌の水分を過剰に奪ってしまったり、静電気を多く発生させたりする素材は、肌によくない刺激を与えてしまいます。肌に優しい素材を考えるなら、これらの逆の性質を持ったものを選べばよいわけです。
肌に優しい素材は綿
綿素材は、赤ちゃんの産着に使われるほど肌に優しいものです。綿は適度な湿度を保持するとともに、静電気が起きにくいという性質があります。
その一方で、しわになりやすかったり、厚手のものは乾きにくかったりするという欠点もあります。
このような綿のデメリットを補うために、さまざまな混紡素材が工夫されているようです。また、肌にあたる側に綿素材を用いた製品もあります。
縫い目や毛玉にもご注意
生地そのものに問題がなくても、縫い目やタグなどが肌に刺激を与えることがあります。このような場合は、裏返しに着たり、タグを取り除いたりするとよいでしょう。
また洗濯を繰り返していると、毛玉ができたりゴワゴワになったりしてきます。とはいえアトピーの方は、界面活性剤や香料などが気になる柔軟剤は使いたくないですね。
柔軟剤の代わりに、すすぎ水にクエン酸(水10Lに対してクエン酸小さじ1/3ほど)を加えてみてください。毛玉やゴワゴワが抑えられますよ。
アトピーケアには肌着選びも重要
着ている間ずっと肌に触れている肌着が肌に及ぼす影響は、小さくありません。最近なんだか肌の調子が悪いと感じられたなら、一度インナーウェアを見直してみてはいかがでしょうか。
西武池袋線「石神井公園駅」西口から徒歩4分のさくら整体鍼灸院では、患部だけではなく、生活習慣なども含めたトータルな視点からアトピーケアを行っています。
土日も営業していますので、平日は忙しくて通えないという方もぜひどうぞ。