患者さまは高齢の方も多く、記憶力低下・忘れ物が増えるなどのご相談を受けることがよくあります。認知症予防としてすぐに実行しやすい食生活で気をつけたいことをご紹介します。
「糖尿病」という病名を耳にしたことがあるのではないでしょうか?実は、糖尿病になると認知症の発生率が5倍になります。
糖尿病の症状や糖尿病にならないために、日常生活で気をつける食生活のポイントをご紹介します。
認知症の発生倍率が5倍になる糖尿病とは?
糖尿病とは、膵臓から出るホルモンが十分に働かないために血中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気です。一般的に運動不足や食べ過ぎによる肥満が原因と言われます。
血中の血糖を一定の範囲におさめる働きをするインスリンが機能していないことが原因です。糖尿病は2種類に大きく分類され、インスリンの分泌低下(1型糖尿病)とインスリンが機能しにくい(2型糖尿病)ものがあります。
糖尿病の症状
- 喉が渇く
- 尿の回数が増える
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
- (著しく高い血糖の場合)昏睡症状がみられる
糖化と糖尿病の関係
糖尿病の人は、血中にブドウ糖が多く流れ過ぎているため、ブドウ糖とタンパク質が結びつきやすくなります。このように、ブドウ糖とタンパク質が結びつくことを「糖化」と言います。
「糖化」とはブドウ糖とタンパク質が結びつくこと
体の中で糖化が起こるときに体温の熱が加わることを「こげる」という現象(メイラード反応)がおこり、老化物質が生成されます。この老化物質をAGEs(終末糖化産物)と言います。
「AGEs(終末糖化産物)」とはメイラード反応により生成される老化物質のこと
糖化から生成されるAGEsとは?なぜ悪いの?
このAGEsは体内に排出することができません。実は、AGEsは100種類以上色々なタイプがあり、善玉と悪玉があります。
ただし多くの場合、悪玉のAGEsが大半を占めます。このAGEsが身体の中に増えると老化(酸化)を促進します。肌のしみ・しわ・たるみなどの原因にもなります。
そのため、AGEsが多い高血糖状態を避けなければなりません。
高血糖濃度が何年間も続くと、血管が傷つき、過酸化脂質やAGEsがつきやすくなります。結果、血管が狭くなり動脈硬化を起こしやすくなります。動脈硬化から全身の血行が悪くなり、心臓病、失明、腎不全、足の切断といった糖尿病の慢性合併症につながります。
糖化を防ぐためにできること
食生活で取り入れたいこと
まず、血糖値を上げない食生活を目指しましょう‼
- 精製されているより未精製の食品を選ぶ(例:白米より玄米・麦ごはん。食パンよりライ麦パン。)
- 植物繊維が多い食品を選ぶ
- 空腹時は甘いものを避ける
- 朝食に野菜を取る(次の食事で血糖値が上がりにくくなる、セカンドミル効果があります)
食べてはいけない食品5選
- 高脂肪動物性食品の焼き物や揚げ物(唐揚げ・ステーキなど)
- ファーストフード(コロッケ・ハンバーガー)
- ポテトチップス(アクリルアミドという危険なAGEsを発生させる)
- 加工肉(ベーコン・ハム・ソーセージ)
- 清涼飲料水(果物のジュースなどには血糖値を上げやすい異性化糖が入っているため)
※果糖は太りやすく、ブドウ糖に比べてAGEsの発生が10倍以上です。ジュースを1日200グラムの果物に置き換えましょう。
まとめ
認知症の予防、記憶力低下・忘れ物が増えないために、実行できる食生活の改善点は見つけられましたでしょうか?食生活を見直すことで、健康を維持し、認知症予防にもつながります。是非、今日からはじめてみてくださいね。